2022.11.19
二階ライブラリーに設置されている水墨画。
私の好きな禅の人。慧能さんです。
禅の祖は達磨大師と言われていますが、実際多くの民に禅の思想を広めたのは
達磨さんから数えて六人目の祖、慧能さんだと言われています。
「本来無一物」
慧能さんの有名な言葉です。
とても禅的で、解釈が難しく…考えだすと同じところをぐるぐる回ってしまいそうになりますが
「我々は本質的には何者でもない。だから払うべき塵も埃もないし、執着すべき対象もないはずだ。」
当時、禅の道というのは非常に厳しい修行のうえに開かれるというのが定説でしたが
慧能さんはそれをフワリと否定されていたようです。
坐禅や厳しい修行は悟りを開く必須条件ではない。
日々の生活で取り組む作業や仕事に向き合うこと、それこそが禅の道である。
実際に慧能さんは禅寺での修行僧時代には米挽きの作業に精を出し
六祖となった後は故郷にもどり、市井の人々と共に暮らしの中で禅境を深めたそうです。
私たちは大人になるにつれて
「幸福になるためには、しんどいことを乗り越える必要がある」
「何かを手にいれるためには、特別なことに取り組む必要がある」
そんな観念を持ち、しんどいことを頑張りたがる傾向があるように思います。
けれど慧能さんは「まあまあ、ちょっと力を抜いて…」と穏やかに微笑み
目の前にある仕事や作業に向き合いなさい、ただ淡々と取り組みなさい
その道の先にあなたの幸福があるのですから…と説いてくれているような気がするのです。
この絵では風を煩悩や執着、杖を己の軸と見立て「本来無一物」を説く慧能禅師を表現されています。
風にふわりとなびく慧能さんの着物の裾。
ライブラリーの窓からのそよ風が、絵の中にもふわりと吹き込んだような構図になっています。
慧能さんと同じ優しい風を感じながら、絵を眺めたり、本を読んだり
どうぞこのライブラリーではゆるりと過ごしてくださいね。
It is said that the founder of the Zen sect was Daruma Daishi, but it is not certain if Daruma actually existed.
The person who can be called the de facto founder of Zen sect is Huineng, who was six generations after Daruma Daishi.
If you extend back to the Zen movement that is spreading all over the world today, you will find him.
The famous words of Huineng, who accurately and skillfully expressed Zen as “本来無一物” (Honrai muichi motsu)
“Let go of all your physical and mental attachment, and live as yourself like a cloud and water.”
In those days, those who wanted to practice Zen usually practiced Zen meditation and hard training,
but Huineng had a Zen interpretation that “The daily life given to you is also a time for enlightenment.” and he is said to have become the sixth generation without actually practicing Zen meditation. It’s the foundation of modern mindfulness thinking.
In this picture, Huineng who preaches “本来無一物” (Honrai muichi motsu)is drawn,
regarding the wind as earthly desires and obsession, and the stick as himself.