ほとりオーナーの
「ほとり雑記帳」

無鄰菴。日本庭園を貸し切るという贅沢

2022.05.19

初夏の匂いがまざり始めた過日、岡崎にある日本庭園「無鄰菴」の夜間プライベート利用の内覧会へ。

日の入りがだいぶ遅くなり、到着した19時前でもまだ夕方の空気。

ほんのり夕焼け色をおびたお庭の景色が出迎えてくれました。

明治・大正時代の政治家、山縣有朋が別荘として造営した無鄰菴。

近代日本庭園の名勝として今も多くの人が訪れています。

昼間の一般入場では何度もお伺いしておりましたが、閉場後、この時間帯にお庭を見るのは初めて。

貸切ということもあり、静寂の中での散策で、鳥の声や水のせせらぎが耳に心地好く届きます。

流れる水音というのは、京都の他のお庭ではあまり耳にすることがないかもしれません。

作庭の際に山縣有朋が七代目小川治兵衛に出したリクエストのひとつが

「躍動的な水の流れ」だったそうです。

それまでの象徴主義的な庭園ではなく、里山の風景や小川そのもののような流れを持つ

自然主義的な新しい庭園観。

ライトアップされた夜のお庭に響く虫の声と小川のせせらぎ、昼間の喧騒の中では体験できない贅沢です。



ゆっくりと日が暮れていき、お庭がライトアップされる頃

母屋のお二階にも初めて上がらせていただきました。

このお庭で山縣有朋が主役に据えたのは、庭園の中にある草木や小川ではなく

奥にそびえる「東山」の借景だそうです。

東山がいちばん美しく見えるよう、絶妙なバランスで配置された連続する庭の景色。

木々の剪定も東山を見据えながら繊細に行われると聞いて、思わずため息の出る思いです。

お二階からの景色は貸切のみ。特別です。


そして幽玄な雰囲気の中、和ろうそく茶会。

席主、表千家流 妹背宗佳さんの和やかなお話に耳をかたむけながら、美味しいお茶をいただきました。

無鄰菴のスタッフの皆さん、ボランティアスタッフの皆さんのホスピタリティには学ぶことばかり。

おもてなしのお手本を見せていただくような思いでした。

ほとりにお泊りのお客様にもお薦めすることの多い無鄰菴ですが

昼間の一般入園だけではもったいない、まだ見ていない景色がたくさんあるという嬉しい発見。

夜間貸切のプライベート利用は企業や団体だけでなく、ご家族や友人同士で…などの

個人利用もできるそうです。庭園ガイドや茶会など、手厚いオプションも。


茶室や母屋のお二階、洋館に関しては昼間も貸切利用がとてもお値打ち。

京都旅行ベテラン組の皆さまにも、またひとつ新鮮な体験をしていただけること間違いなしです。

ぜひコンシェルジュにご相談ください。

無鄰菴 (利用料や入園案内、各種イベントなど、こちらからご確認ください)

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