2023.08.22
送り火が終わった次の週末、京都の路地裏ではそこかしこで赤いちょうちんがぶら下がります。
京都の夏の風物詩、地蔵盆。
ローカルもローカル、小さな町内ごとに行われる最小の地域行事です。
起源は平安時代、室町時代には京都で盛んに行われるようになった地蔵盆、京都無形文化遺産に選定されています。
町内の子供の名前入りのちょうちん。
紅白の色は「お地蔵さんと子供たちの縁を結ぶ」意味があるそうで、地蔵盆は子供たちの健やかな成長を願う風習です。
地蔵盆の日は町内の大人も子供も朝早くから続々大集合。
大人も子供もお地蔵さんに手を合わせ、お供えをします。
そして大人に見守られながら、子供たちとお坊さんの数珠回し。
大きな大きなお数珠をお経に合わせてグルグルまわします。
このあとの催しは町内ごとに個性が光るところ。
豪華景品の輪投げやビンゴ大会、ヨーヨー釣りやスイカ割り…
子供も大人も汗だくになりながら、小さな夏祭りを楽しむ一日です。
我が家の町内はコロナ前はバーベキューでお昼ごはんというのが定例でしたが、今年はケータリング。
まるでホテルビュッフェ、そして生バンドの演奏も入り、なんとも優雅な地蔵盆となりました。
朝から夕方までぶっ通しで行われる地蔵盆。
ご近所の小さい子からおじいちゃん、おばあちゃんまでが一同に会す数少ない機会です。
学校はどうえ?サッカーきばってるか?背ぇおおきなったなぁ!
なんておしゃべりしてる様子はまるで久しぶりに会う親戚同士のよう。。
そして大人は大人で、昼間からお酒をいただきながら町内ネタでにぎやかに笑いあい。
子供たちは、大きい子から小さい子まで年齢さまざま、ふだんは挨拶程度でも、地蔵盆で集まれば皆でワーッと遊ぶ遊ぶ。
友達でもなく、親戚でもなく、仕事仲間でもない…でも家族代々丸ごとのお付き合い。
なんとも形容しがたい特別な絆が、京都の「町内」には色濃くあるような気がします。
ちょうちんに名前を入れてもらえるのは中学生まで。
お役御免で引退した息子たちのちょうちんを引き取ったときは、子供の成長の早さを寂しく感じたもの。
でも大きくなった子供はそのうち、地蔵盆では大人と一緒にお酒を飲み、町内のおもしろネタでわははと笑い、じきに家族を持って、今度は自分の子供の名前がちょうちんに入るのです。
ご近所同士、子供を見守り、見守られを繰り返しながら大切に続けられてきた地蔵盆。
少子化で地蔵盆を開催しない町内も年々増えていると聞きます。
どうかどうか、続いていきますように。
毎年地蔵盆が終わるたび、そう願わずにはいられません。
Jizo-bon is a summer tradition in Kyoto, originating in the Heian period and becoming popular in the Muromachi period.
It has been selected as a Kyoto Intangible Cultural Heritage.
The event involves hanging red lanterns, symbolizing the connection between Jizo and children, in the back alleys of Kyoto.
On the day of Jizo-bon, people make offerings to Jizo-san and participate in activities like spinning prayer beads, ring toss, bingo, yo-yo fishing, and watermelon splitting.
It is a day for both children and adults to enjoy a small summer festival. The festival brings the neighborhood together, providing a rare occasion for people of all ages to interact and have fun.
It creates a special bond that is hard to describe, fostering a sense of community in Kyoto’s “chonai”. However, due to the declining birthrate, the number of neighborhoods holding Jizo-bon is decreasing, and there is a plea to let the tradition continue.