ほとりオーナーの
「ほとり雑記帳」

祇園祭の思い出

2022.07.01


7月にFacebookを開くと、表示されるのは何年分もストックされた過去の投稿、祇園祭の写真。

我が家の住む地域は祇園祭関係者の子どもが多く、あの子は何鉾のお囃子、あの子は何鉾の粽売り…と、祇園祭はとても身近なお祭りなのです。

曳き染めは学校行事として体操服で参加し、祇園祭関係者の練習は公欠扱い。そして山鉾巡行の17日は平日でも学校がお休みです。

我が家の次男が小学生だった頃、ご縁があって四条傘鉾の踊り子として祇園祭に関わらせていただきました。

毎年春から踊りの練習が始まり、7月に入ると付き添いの母親も着付けや粽作りの手伝いで大忙し。

そして宵々山(当時は宵々々山がありました)が始まると、いよいよ本番お披露目です。

たくさんのギャラリーに見守られながら、連日宵山で踊りを披露し、17日の大本番、山鉾巡行に臨んでいました。


当時の写真を見るたびに蘇るのは、耳の奥で鳴り止まないコンコンチキチンのお囃子と、梅雨明け直前の強烈な蒸し暑さ。

宵山の人並みをかき分けて歩き、汗だくで着物を着せて子供を本番へ送り出す慌ただしさ。

そしてお囃子を聞きながら飲む、屋台のビールの美味しさと、たくさんの笑い声。

大勢の観光客に囲まれカメラを向けられる次男は「暑い」「着物がかゆい」「屋台で遊びたい」と文句を言いながらも、「まんざらでもなさそう」な誇らしげな顔をしていました。

直前までちょけているやんちゃな小学生男子の踊り子たち。お囃子のかけ声と共に本番の顔に変わる瞬間がいつも印象的でした。

祇園祭という盛大な「神事」に参加する責任の大きさを、小さいながらに学ばせていただいたのだと感じます。


小学校を卒業し、お囃子や「くじ改め」をする副使を務めさせてもらいながらも、部活や遊びに向く気持ちのほうが大きくなった次男。

京都の大きな伝統行事に「参加」させてもらえることがどれだけ貴重でありがたいご縁なのか。

今年大学生になったばかりの彼がそのありがたさに気づくのは、もう少し大人になってからかもしれません。



今年は3年ぶりに山鉾巡行が復活。

祇園祭は「できる限り本来の形」で開催されるそうです。

今日から四条通りには祇園祭の飾り付けが施され、コンコンチキチンの祇園囃子が流れはじめました。

今年はきっと宵山から巡行まで、たくさんの方が楽しみに訪れてくださることと思います。

疫病に翻弄されたこの数年の思いを重ねて、私たち地元民も今年の巡行はひとしおならぬ思いで見届けることになりそうです。

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