ほとりオーナーの
「ほとり雑記帳」

納涼下鴨古本まつり。糺の森、本の森。

2024.08.17


京都へ越してきた16年前から行きたいと思っていた場所がありました。

毎年お盆の数日間に開催される、納涼下鴨古本まつり。

甲斐みのりさんの「乙女の京都」で紹介されていて、森の中に古本が並ぶなんて素敵すぎる!と16年若かった私は胸が高鳴りました。(当時は新しくてオシャレな印象でしたが、もう20年前の本なのですね。)

ぜったい行きたい!リストに入っていながら、近いのになんやかんやで見送り続けて16年。

よりによって過去最高に暑い今年の夏にようやく出かけてみました。


蝉も鳴かない35度超えの猛暑日、糺の森の道いっぱいに並ぶテントと古本の山。

大きな木々の下、本の間をゆらゆらと物色する姿、人がまるで深海魚のように見えてくる。

森の木立に直射日光が遮られて、表通りに比べたら幾分か涼しいものの、京都の湿度。

本を眺めるそばから汗がふき出してきます。

確かに「夏の風物詩」という体感。


立派な古書が山盛り木漏れ日に揺れています。

京都は人口10万人あたりの古書店数が全国最多。

シーボルトや川端康成が通った、江戸時代から続く古書店も今なお現役で営業されてます。

歴史の古い京都では僧侶や学者、公卿など知識人が集まっていたこと、寺社仏閣の数と比例して仏教書が多く残っていたこと、大学などの教育機関が多くあったことが理由で、古くから出版業が発達していたそう。

ちなみに読書家が多い都道府県ランキングでは、京都府は東京、千葉に続いて3位。

古本まつりがにぎわうのも、なるほどという感じ。


海外の雑誌や美術書、子どもの本、海外絵本もあれば


可愛らしい教科書の山も。

持ち上げるとハラハラとほどけてしまいそうな古さ。


木版画もたくさん積まれていました。

日本の色ってキレイだなぁと思わず足が止まります。


途切れることなく並ぶ本の山は80万冊以上だそうです。

ふと昔読んだ森見登美彦さんの小説「夜は短し歩けよ乙女」を思い出して、そういうえば黒髪の乙女がこの古本まつりに来てたよね、と。

そうだ、彼女が手にしていた「ラ・タ・タ・タム」という小さな機関車の絵本を私も読んでみたかったんだ…という忘れてた思いがよみがえりました。

歩いてきた本の森を引き返して絵本を探そうかと一瞬迷い、いや、今日は出会わなかったということだと思いなおし(暑さに負けたとも言う)

次の目的地へ向かうことに。


進々堂京大北門前。

もともとは別の目的があって訪れる予定にしていたレトロな喫茶店。

でも古本まつりで黒髪の乙女を思い出してしまったものだから、今日は思いがけず森見登美彦さんの「夜は短し歩けよ乙女」と「熱帯」の、聖地巡礼の日だったようです。

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